完成形です!ビジュアル歌謡メタルコアの完成形ですよこれは!

同系統のライバルといったらそりゃあなんといってもLynch.ですが、彼らはすげーシリアスなんすよね。メタルコアの「かっこよさ」をシリアスに追求しているんですよね。現代日本では本質的にダサい音楽であるところのメタルコア――しかもビジュアル系で――を真面目に追求するっていう、そこんとこの齟齬が彼らにはあるんですよ。世間認識との乖離に若干の申し訳なさがふくまれてしまう。心の葛藤がそこに生まれるんですよ。それがビジュアル歌謡メタルコアの完成を妨げている(もちろん世間認識なんていう価値を取っ払って素直に聴けばクッソかっこいいです)。

その点SADIEは圧倒的にダサい。彼らはメタルコアの「かっこよさ」は追求してない。ただメタルコアを「かっこいいモノ」として選択しているだけなんですよ。そしてその「かっこいいモノ」を選択するセンスが圧倒的にダサい。語弊を承知でいえば、二次元的なのです。それは歌詞を見れば一目瞭然。

闇を撫でる牙が叫び
崩れ落ちた空が嘆く
ほら聞こえる生存と死期のメロディー
(#2「Juggernaut」)

どうです?ブルっちまう歌詞でしょう?もっともこれは『咎狗の血』という18禁ボーイズラブゲームのアニメのエンディングテーマなので二次元的世界観をおもんばかったという好意的な捉えかたもそりゃあできますが、どっちにしろそんなタイアップ受けてる時点で彼らのセンスの業の深さがうかがえます。

さらに補強する最強の事象。なんと彼らは「仮面ライダー電王」の同人音楽を作ってしまったのです。

早回しの時計モチーフに、「俺、参上!」、「釣られてみる?」、「泣けるで」、「答えは聞いてない」などの登場人物の決めゼリフがふんだんに盛りこまれた歌詞。CRYMAX!なんて主題歌そのまんま。いーじゃんいーじゃんすげーじゃん!

作曲的な観点からするとこの曲は彼らの初期代表曲でありDIR EN GREYモロマネ曲「迷彩」のバージョン違いといった風情なのですが、バックボーンがまるで異なるためまったくべつの雰囲気。ご存知のとおり「仮面ライダー電王」は、「灼眼のシャナ」と不快、いや深い関係性を持つシリーズ屈指の二次元的特撮ヒーローです。その!電王をテーマにした歌を!頼まれもしないのに!勝手に!作った!PVまで!スタッフも共犯!

こうなるとそのほかの曲もなんらかのアニメ・特撮文化に根づいたもんなんじゃないかと疑ってしまうですよ。アニメ・特撮の非公式同人音楽をひたすらつくり続けるビジュアル系プロミュージッシャンって、そしたらすげえおもしろい存在になるんですけども!だって一昔前のビジュアル系ロックミュージシャンっつったらアニメや特撮の主題歌を嫌がるもんだったんですからね。今でこそビジュアル系とアニソンの親和度がたかくなってきてはいますけども、依然ファン側にはアニソンタイアップをきらう風潮はあります。「アニメのほうはまったく知りませんが」!

歌詞だけでなく音楽的にもそのセンスは十二分に発揮されております。中途半端にサザンロックをかじったようなドライブ感のあるモッシュパートと流れるような洗練されたサビは見事にアニソンを彷彿させます。見事!見事!シンセやピアノを絡ませるオーケストレーション方向のアレンジ力の高さも聴きのがせません。

いや、これで音がカッスかったら「ハイハイ」で終わるんですけれども、これがまたいい塩梅なんですわ。低音過剰で音割れ気にせずゴリゴリっと攻めたてる音で、勢い重視のこのジャンルでは大正解以外の何者でもない。

#06「deathtopia」とか、DIR EN GREY『UROBOROS』に影響受けたような、けどRISE RECORDSあたりが拾ってもおかしくないほど本格的なメタルコアとして完成度の高い楽曲もあるにはあるけど、おれぁそっちにはいってほしくねえなー。アニソンの新たなスタンダードとして歌謡メタルコアを確立させてほしいなー。あー、なんかすっげーそうおもう。俺、そういう顔してるだろ?<

投稿日:2011年11月09日