音楽レビューはおおきく以下の3系統にわけられます。

ポエム系

特徴

じぶんの心象風景を語彙や修辞を駆使して表現する。音楽を言語で翻訳。二次創作にちかい。

利点

詩的な意味での文章作品としてたのしめるほか、その心象風景を作品解読の糸口にできる。

欠点

読んでも音楽的なことはあまり理解できない。あとたまにイタい。

最近2chでさらされて一躍有名になった新しい人のレビュー。

世界の終わりを大好きな女の子と眺めている感じ。

廃墟でじゃれあってるような、血の海でキスをするような、とにかくそんな感じ。

満員電車ではこれを聴きます。

目を瞑ると。

とても暗くて残酷な世界。

あまりの凄惨さに少し居た堪れなくなるほどの光景。

オワルセカイ。コワレルキミ。

悲しいね。

だけど現実よりもよっぽど綺麗だ。

(WORLD’S END GIRLFRIEND『The Lie Lay Land』、Amazon.co.jpレビューより)

極端な例ですけれども、これを読んでもWORLD’S END GIRLFRIENDが電子音楽ってことはまったくわからないけれども世界観だけは伝わる。これぞポエム系。

ライナーノーツ系

特徴

作品に関わった人々、出来事、機材などの情報をあげていく。ミュージシャンの情報をよく得られるプロが得意な方法。

利点

単純に情報源として優れている。関連作品へと繋がる。

欠点

固有名詞がおおいためわからないと疲れる。読み物としてはあまりおもしろくない。

お手持ちのライナーノーツで該当箇所をさがしてみてください。

成分分析系

特徴

他の作品との比較などから、作品の音楽的特徴や歴史的位置づけを考察する。

利点

作品を音楽体系のなかで理解する手助けとなる。関連作品への興味を刺激し、それらを聴く際にも役立つ。

欠点

専門用語がおおくなりがちなうえ、比較対象への知識もある程度要求されるため敷居がたかい。

メタルコアの起源はメロディックデスメタルバンドのご存知IN FLAMESだとおもうんだけども、大体のメタルコアバンドはデスメタルを主要成分として吸収している。一方で彼らはメロディック成分とデスメタル成分を等しいものとして扱っているような。

(SAILING BEFORE THE WIND『Judgement EP』で日本メタルコア界の未来についておもう。、当ブログより)

我田引水で申し訳ないのですが……。たとえばメタルコアとメロディックデスメタルのつながりを意識できますし、「メロディック成分とデスメタル成分をわけてとらえる」という聴き方を参考にできます。また、IN FLAMESにも食指がのびるでしょう。

さて、3系統にわけましたが、実際には、複数の系統にまたがるレビュー記事がおおいです。たとえば下記記事などは成分分析をポエムに帰結させている非常にステキなレビュー記事です。

なめブログ TRAGEDY『Darker Days Ahead』 2013.01.06

どのレビューを読んだらいいか?

音楽作品をえらぶ場合

断然成分分析系をおすすめします。体系的な評価がされているため、外れをつかむことが少ないです。作品が好みでなかった場合も意味を見出すことができます。

一方でポエム系は、個人感情が評価の核となっているため、そのひとと感性があわなかった場合ざんねんな時間をすごすことになります。

レビューで先入観が強まるのがいやな場合、信頼できるレビュアーの点数だけで判断するという方法もあります。

聴いたあとに読む場合

3つのうちどれもおすすめです。ポエム系は音楽→言語の翻訳力がつき、感受性が増します。ライナーノーツ系は知識が得られます。成分分析系はどの要素に着目するのか、どう結びつけるかといった体系的理解の仕方を学べます。

単純に読み物としておもしろいのは、ポエム系=成分分析系>ライナーノーツ系でしょう。また、個人ブログなどの場合は、コメントなどで意見をやりとりするのも楽しみのひとつです (他意はありません他意は)。

以上です。レビューを読むときに、本記事の内容を頭の片隅にでもおいてもらえればうれしいかぎりです。よいレビューもクソみたいなレビューもたくさん読んで、音楽鑑賞を堪能しましょう!

投稿日:2013年01月09日