※音楽そのものの話はこちら。

登場人物

キイチくん
kiichi01
BURRN!と燃え上がるメタル系男子。みんなから距離を置かれている。

ヒズ美ちゃん
hizumi_magao[1]
ヴィジュアル系からブラックメタルへと暗黒の道をひた走るゴスロリ系女子。みんなから距離を置かれている。

タワーレコードにて

kiishi02

ブヒッ

hizumi_magao[1]

キイチくん

kiichi04

うっ、ヒズ美さん!

hizumi_magao[1]

BABYMETAL?AKB48はクソだとかいって飲み会の空気を凍らせたキミがアイドル?

kiichi04

い、いやちがうんだこれは!彼女らはアイドルだけどメタルなんだ!ほらおれメタラーだし!それに海外のプロミュージシャンたちも評価してるんだって!

hizumi_egao[1]

なるほど。それがキイチくんの“アイドル免罪符”ってわけね

kiichi01

何を言ってるの

hizumi_egao[1]

本当はアイドルにブヒりたいのに、アイドル好きっていうことに対する世間の冷たい目や自分のなかの美意識によってストッパーがかかっている人たちが、「自分はアイドルをアイドル的視点以外でもこんなに評価している、すなわちいわゆるアイドルオタクと一緒ではない」と思い込むため、あるいは他人に説明するための要素、それがアイドル免罪符だよ

kiichi01

めんどうなひとに会ってしまった

hizumi_magao[1]

ももいろクローバーの大成功もここにあると私は睨んでいる

kiichi01

そ、そうなんだ

アイドル的存在からアイドルへ

hizumi_egao[1]

ところで一緒にカゴに入っているのは……ALDIOUS、陰陽座、BEHEMOTH……クッククク……さながら免罪符のオンパレードだね……(*1)

kiichi01

え、いや、確かにALDIOUSはメンバー全員女性だけどちゃんとしたメタルやってるよ。まあそりゃあ演奏力は海外のバンドには及ばないけど、サウンドプロダクションは及第点と言っていいし、何より海外のマネをするだけでなく日本歌謡のメロディをアイデンティティとして……

hizumi_magao[1]

……CYNTIAは?

kiichi01

え、あ、ああ、「Run to the Future」聴いただけだけど、ぼくみたいなメタラーからするとちょっと曲がポップすぎるんだよね。まあ演奏は経歴からしてうまいのはわかるんだけど、逆にボーカルが演奏に負け気味なんだよね。それにガールズメタルブームに乗っかってみましたってかんじがし……

hizumi_shoutbokashi[1]

エ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ッッッッッッ!!!!!!

kiichi04

公共の場でグロウルはやめて

hizumi_magao[1]

いまキイチくんが言ったこと、似たようなことがBABYMETALにも言えそうだけど

kiichi01

そういわれればそうだけど

hizumi_egao[1]

それがBABYMETALとアイドル免罪符のカラクリだよ

hizumi_magao[1]

メタルやインディーロックなんかの、”本格派志向”のリスナーたちのなかにも、心のどこかではアイドルを求めているひとはたくさんいる

hizumi_magao[1]

でも本格派志向であるために、アイドルに素直にはまることはできない。そんなひとたちが、アイドルとして成立する若女たちが作曲や演奏をしている音楽に対して、”ミュージシャン”を隠れ蓑に彼女らにブヒっている場合があるんだよね。メタルでいうならALDIOUSを含む嬢メタル全般で見られる傾向ね

kiichi01

陰陽座は違うでしょ

hizumi_magao[1]

もちろんALDIOUSも含めて彼らはミュージシャンだけど、女性メンバーがいると男性が多いメタラー勢からしたらそういう側面があることは否定できないんじゃない?

kiichi01

確かにこの間のライブで不覚にも「黒猫かわいい」と思ってしまった

hizumi_magao[1]

陰陽座のようにミュージシャンとして強固であればあるほどアイドル免罪符の力も強くなるしね。逆に言えば、そういうパターンの場合は本人たちのミュージシャンとしての資質ががっつり求められるわけ。そこそこの可愛さと、この胸の中で絡みついた灼熱の音楽性の両立ね

kiichi01

その点BABYMETALはアイドルだから可愛ければいいってこと?

hizumi_magao[1]

極論そういうこと。あとはその道のプロにメタラーが納得する曲や演奏をさせれば、“アイドルの可愛さ”とこの胸の中で絡みつく……

kiichi01

DIR EN GREY好きなのはわかったから

hizumi_magao[1]

それに、本人たちにミュージシャンとしてのこだわりが薄い分、ジャンルの垣根も越えやすいでしょ

kiichi01

そういやBiSってアイドルが非常階段とコラボして話題になってた

hizumi_egao[1]

そう、それは重要な出来事だね

hizumi_magao[1]

まず、AKB48の隆盛もあって、フットワークの軽い著名ミュージシャンたち――メタル/ロック系で言えばマーティ・フリードマンやNARASAKIといったひとたちが、ももいろクローバーを代表とするアイドル界隈と絡みだし、既存の、いわゆる“アイドル”からはみ出したようなアイドルをやり出した

hizumi_magao[1]

それを見て「ぼくも若女とお仕事したい」、「アイドル売れるなこれ」とおもったミュージシャンたちが続々とアイドル分野に手を出し始めた。そうやって名だたるひとたちとアイドルが組んだことで、アイドルっていう文化を敬遠してたそれ以外のミュージシャンたちも「あ、アイドルやっていいんだな」とアイドル文化に寄っていった。ミュージシャン側のアイドル免罪符が発行されたわけ

hizumi_egao[1]

そういう背後があって、今までのアイドルには無かったような曲やニッチな本格さをもった地下アイドル、ニッチアイドルが次々に誕生したと私は睨んでいる

kiishi02

ぼくも若女とお仕事したい

まとめ

  • メタル界隈では、今まで“ミュージシャンとしてのアイドル免罪符配布”はあったが、“アイドルとしてのアイドル免罪符配布”はなかった
  • 「ミュージシャンだけど可愛い」人たちのミュージシャン部分へのハードルの高さ > 「アイドルだけど本格的」な人たちの本格的部分へのハードルの高さ(かつ打点はミュージシャンレベル) → アイドル免罪符発行のハードルの低さ
  • 演奏もできてアイドル性の高い女の子を探すハードルの高さ > アイドル性の高い女の子を探すハードルの高さ → アイドルのほうがたやすくアイドル
  • BABYMETALは可愛いし十分言い訳も効く

……

hizumi_egao[1]

彼女たちの音楽的すばらしさは事実だよ。でも見失っちゃダメ。キイチくん、あなたが本当に求めているものを

hizumi_shout[1]

本当の、心をっっ!!

kiishi02

ぼくの……本当の……心……?

kiichi04

ブッ……ブッ……

kiichi04

ブヒィィィイイィィッッ

 

……

 

kiichi05

そうだ、おれは、メタラーであるまえに、ひとりの『漢』なんだ……っ

kiichi05

まっててくれ愛しのベビメタちゃん。つぎこそぼくが、プロデュースをしてみせる!

hizumi_egao[1]

(これでまたひとり解放された。“メタラー”の呪縛から……)

*1 Amazon『BABYMETAL(初回生産限定盤)』の「この商品を買った人はこんな商品も買っています」欄にて実際に確認

投稿日:2014年04月05日