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TJLA FEST ~うるさくて黒くて激情で “アトモスフェリック” な音楽好きにおすすめのアンダーグラウンドフェス

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TJLA FEST

http://tjlafest.tumblr.com/TJLA FEST

欧・米・日の激情ハードコア・ブラッケンド・ポストメタル・ポストロック etc. 14組の有力バンドが一斉に集う アンダーグラウンド・シーンの祭典 「TJLA FEST 2015 (ティー・ジェル・エー・フェス)」
Tokyo Jupiter Records & LongLegLongArmsの共同プロデュースで開催決定!!

開催日: 11月14日(土)・15日(日) 場所: 新大久保EARTHDOM

一部音楽好きたちがその日を心待ちにしているフェスまであと1週間を切りました。情報をまとめました。出演バンドについて簡単な紹介もしました。(なお、本記事を書くにあたり各バンドやレーベルと何のやり取りもしていません。個人の勝手な宣伝です)

記事の流れ

まず出演バンドを出演順に試聴リンクつきで紹介していきます。

「そもそも激情ハードコアetc.って何なんだ」という方にこそ、試聴をしていただきたく。どうぞ。

その後主催であるふたつのレーベルについての情報を記していきます。

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日本でネオクラストを自称する数少ないハードコアバンド。姫路拠点。過剰な叙情性と暑苦しいボーカルは、どこか人情や仁義といった泥臭さを感じさせます。演歌以降の土着感情+クラスト=ジャパニーズネオクラストということなのでしょうか。

初録音作品は売り切れなので、インタビューを読みながら次回作を待ちましょう。

ちなみに公式ホームページが魔法のiらんどです。インターネット黎明期!

after forever

千葉のカオティックハードコア/ヘヴィメタル。鋭く歪んだギターによるメロディと空中に吐くように叫ぶボーカルの感情を、フィジカルから逃げずに刻む重いリフとベース、芯の太いドラムが支えながら突進します。<ニュースクールハードコアとメロデスを足したようなバンドがやりたくて>結成されたバンドとのことで、なるほどメロデスにも通じるところがあります。

入手容易な作品は残念ながらありません。

3LAによるインタビューがあります。上記引用箇所もここからです。

STUBBORN FATHER

大阪のハードコア/エモバイオレンスバンド。コード使いやフレーズ、ボーカルの叫びに叙情性は感じるものの、メロディや展開においては、単純複雑、あらゆる方向での「安易さ」を避けているようで、それらが得体の知れない異形の感情を想起させます。

スプリット音源として下記のふたつが入手できます。他のバンドもふくめてどちらもすばらしいのでぜひどうぞ。

【2014年末に生み出された傑作split】Trikorona / Stubborn Father (split CD)

【日本大阪/USナッシュビル激情を繋ぐ4way split】Altar of Complaints / SeeK / Stubborn Father / Thetan (4way split 12″)

OVUM

東京のインストゥルメンタルロックバンド。感情を揺らすトレモロ轟音ギターを主軸としつつ、軽快なドラミングやファンキーなベースを交えることで地に足のついた憧憬を、変な拍子や展開を交えることで異物感のある陶酔を引き起こします。

現時点での最新作は2013年の『ascension』です。

また、World’s End Girlfriend (以下WEG)のVirgin Babylon Records (以下VBR) の5周年記念作品『ONE MINUTE OLDER』にも参加しています。

中心人物Norikazu Chiba氏へのOTOTOYによるインタビューはこちら。WEGの前田氏と自身の音楽に対する姿勢の違いの話はおもしろいです。

Years Passing


スウェーデンのギタリスト、ヘニング氏によるソロプロジェクト。場面ごとにギターを中心としたさまざまな表情の音が顔を出し絡み合いながら、全体としてはゆったりとした展開をしていく様は、複雑な感情を抱きながら一日をひとつひとつ終えていく個人を感じさせます。唄モノもあります。

TJRと契約し、20日に来日記念盤『In Japan』を出す予定です。TJLA FESTで先行販売。

Coffins

名門Relapseとも契約している、「日本より海外で人気」の悪くて怖いドゥーム/デスメタルバンド。OVUMとYears Passingが作り上げるであろう『昇天』感を一気に地獄へ叩き落す予感しかしません。フィジカルから逃げたら戦えない(ゾンビと)

The Caution Children

フロリダ州のスクリーモバンド。多くは語りません。これがエモであり “エモ” なのです。購入はTJRから。


Downfall of Gaia

ドイツのブラックメタル/ポストメタル/ネオクラストバンド。SLAYERやMETALLICAを見出したことで知られるMetal Bladeと昨年契約しており、最新作『Aeon Unveils the Thrones of Decay』は反響の効いた輪郭の曖昧なギターやブラスト中心のドラムが目立つ、ポストブラックメタルと呼ばれるものに近い音楽性になっています。水谷氏による「ネオクラストのネオの部分はクロスオーバーの探求心や実験精神」(TOKYO UNLEARNED Episode 37)を体現しています。

大売れしたDFHVNよろしくなのか、ヴィンセントギャロみたいな小奇麗なかんじもありますが、うってかわって音には黒い怨念が渦巻いてます。地球崩壊しろ。

3LAMarunouchi Muzik Magazineによる日本語インタビューがあります。

Disrotted

<僕たちはとてもラウドで、不快で、憂鬱にさせる、スロウなシカゴ・スタイルのドゥームメタルを君たちに約束します>)。約束されました。2日目の鈍重地獄枠です。

SeeK

大阪のダークハードコア/ポストメタルバンド。重さと暗さのなかにポストロック的な救済感もあった2007年『朽ちていく中で』でしたが、2013年『崇高な手』ではもう光は射してません。

展開は多めであるものの、ひとつひとつの場面の中でしっかりリフレインが入っています。また、各パートが、おのおのの重さに力を入れた音を、同じタイミングで振りおろしているのも特徴です。それらによって、曲展開時に場面が「切り替わった」という印象を与えず、変化のあるひとつの大きなうねりとして曲が機能しています。そしてそのうねりは、叙情性を持っています。

3LAでのインタビューもあります。

ghostlate

東京のスクリーモ/ポストハードコアバンド。ベースが作りあげる曲の骨格に、多分に叙情的なクリアトーンギターと突っかかるような刻みギター、その感情を支えるように叩きつけるドラムが乗ります。音と感情の両者で揺れの激しいサウンドですが、同時にバンドとしてのまとまりと足腰の強さも感じます。

【国産激情 2nd EP!!】paradigm shift / ghostlate (CD EP)

ISOLATE

東京のダークハードコアバンド。動画ではわかりませんが、録音作品ではかなり重い音を出しています。その重苦しい音に乗せて人間の欲をつづった2014年『ヒビノコト』を聴いて、我々はやはり「人間が憎い」と口に出すしかないのでしょうか。

かき鳴らされるギターの輪郭は明確ではないものの、ドラムの1音1音から重低残響音が発生しているかのような曲作りがされているので、同様のギター音を使うポストブラックメタルなどと比較すると全体の結束感、肉感が高いです。歯切れの良い音の乗せかたをするボーカルもここに寄与しているでしょう。こうして欲と肉が同居し、醜い人間が描き出されるわけです。

インタビューを読むと完全に曲先行だということですが、上記の点や、一定のコードやスケールのみを使う作曲法による作品全体の音色の統一感から、『ヒビノコト』という表題と歌詞が、高いレベルで曲の印象と合致していると思います。

THE DONOR

金沢のハードコア/パンク/メタルバンド。

多くのひとが賞賛した2014年『Agony』。RelapseやDeathwish Inc.あたりのバンドと殴りあってKO勝ちできそうな圧倒的なフィジカルを持っています。ドラムとベースがどっしりとした、近年の音圧競争でも殴り勝ちできるような音圧を持つ低音基盤を作っていることで、ギターがあらぬ高音にすっ飛んでいったりしてもその肉感を損なうことはありません。そして、奔放に低音と高音を行き来してさまざまな表情を見せるギターは、肉体に、単なるジャンルのクロスオーバー以上の躍動感を付与しています。

3LAによるインタビューはこちら。

【金沢発,世界標準のMetallic/Hardcore】Agony / The Donor (CD)

Vampillia

ポップとアンダーグラウンドをつなげる奇跡のハシゴ(直喩)。VBRという影響力のあるレーベルに身を置き、名の知れたミュージシャンともコラボする存在ながら、今回のフェスのようなアンダーグラウンドな場にも頻繁に顔を出している守備範囲の広さに敬意を表したいです。いつか夏フェスにTHE BODYと参加してシャボン玉と花冠とまぶしい日差しを銃弾と肉塊とモンゴロイドと男の娘で染めあげてください。

OVUMとVampilliaというVBR関係のバンドが2つ参加していることに、何か起きて欲しいという期待があります。

来日バンドは他の公演もあるよ

来日バンドはTJLA FEST以外にもライブをやります。すでに終わってしまったものもありますが、日程はこちらでご確認ください。Downfall of GaiaとDisrottedは西のほうにも行きます。日本のバンドも強烈です。

LongLegsLongArms (3LA)

http://longlegsarms.xsrv.jp/index.phpLongLegsLongArms Distribution -3LA-

今回のイベントの主催。<日本のネオクラスト界のドン>(TOKYO UNLEARNED Episode 36より)こと水谷暁人氏が運営するレーベル兼ディストロ(レコード店)。ネオクラストや激情ハードコアを代表とする、感情が爆発するような音楽を主に取り扱っています。

ディストロとしての側面は、音楽サイトGrumble Monsterでのインタビューが詳しいです。

http://grumblemonster.com/column/interview_3la-2/LongLegsLongArms distro(3LA) – interview

重要だと思っているのはその音源やバンド、そしてシーンがこの壮大なパンク・ハードコアの歴史の中で、どのような立ち位置にあるのだろう?という疑問です。シーン全体がビックリマン神話体系だとしたら、バンドや音源はあのチョコのおまけシールのようなもの、つまりこの壮大な物語にアクセスする鍵となります。

加えて、インターネットラジオ「TOKYO UNLEARNED」では、レーベルの考え方などを語っています。

http://tokyo.unlearned.fm/post/129677996787/episode-36-20150923-interview-with-mizutanilongTOKYO UNLEARNED — Episode 36 20150923 Interview with Mizutani(Long…

レーベルとしてはスペインのネオクラストバンドICTUS『Complete Discography / Ictus』の発売において、いちはやくクラウドファウンディング的な手法を用い、そして成功を収めています。

レーベル事業、レコード店事業ともに、音楽への真摯な態度と見識の深さ(および二郎への愛に基づいた音源選択によって、日本の一部音楽オタクを大いに喜ばせていますが、そうした彼の人間性とそれへの信頼がその成功を支えたことは言うまでもないでしょう。

海外バンドの招聘ではHEXISの衝撃が記憶に新しいです。そのときの話は氏がまとめています。個人を主としたDIYツアー、そして音楽を通した異文化交流に対する実感や葛藤がつづられており、おもしろいです。

https://medium.com/hexis-japan-tourHexis Japan Tour – Medium

Tokyo Jupiter Records

http://tokyojupiterrecords.com/TOKYO JUPITER RECORDS

今回のイベントの主催。Tokyo Jupiter Records(以下TJR)はKimi氏による<世界各地に散りばめられたまだ光の当たっていない激情ハードコア/ポストロック系バンドを中心に探り当て、リリースを手掛けているレーベル>です。ということで、またも音楽サイトGrumble Monsterのインタビューに詳しいです。(音楽サイト的には “Grumble Monster (Takuya Ito) フェス” 色もあることがわかります)

http://grumblemonster.com/column/column_tjp/Tokyo Jupiter Recordsの核心に迫る | Grumble Monster

言葉にはできない繊細な部分にあたるのですが、社会性・建前・処世術が要求される現代社会においても、決して取り繕うことのない、剥き出しのハートの部分を包み隠さず投げかけることのできるアーティストは、表現者と受け手の相互理解の実現においてこれ以上とない可能性を秘めていると思いますし、そういった部分をそれぞれの音楽性の中で表現できる・大切にしているアーティスト達を率先してサポートしていきたいと考えています。

これまでのリリースのうち、もっとも名のあるバンドはAmenraでしょうか。NEUROSISのメンバーが設立したNeurot Recordingsは、2013年に彼らと契約しています。そしてその2年まえに、TJRが『Mass III-IIII Japan limited edition』をリリースしている事実は、当レーベルの信頼できる審美眼を示しているでしょう。

また、海外で単独フェスTOKYO JUPITER FESTを開いたりと、ライブシーンでの活動も行っています。

TOKYO JUPITER Compilation II

はるまげ堂

http://www.obliteration.jp/OBLITERATION/ はるまげ堂 デスメタル グラインド ブラックメタル スラッシュメタル ドゥームメタル DEATH, GRIND, BLACK, THRASH, DOOM, GORE and all extreme here. Stay Underground!!

主催ではありませんが、デス、グラインド、ブラック、スラッシュ、ドゥームなどなどを扱うレーベルOBLITERATION RECORDSの通販部門はるまげ堂が両日出店するようです。今回のイベントではCoffinsやDisrottedと関わりが深いです。

主催者メッセージ

http://3lanakanohito.blogspot.jp/2015/07/tjla-fest.htmlTJLA FESTのお知らせ – 臨時ブログです

TJLA FESTは国内外の良質な激情HC、ポストメタル、ブラッケンド、ネオクラスト、強烈なシンパシーや興奮を覚える音楽を、実体験できる場を築きたいという試みです。

http://longlegsarms.xsrv.jp/index.php?main_page=document_general_info&products_id=1635br/Downfall of Gaia Japan Tour、そしてTJLA FEST 2015が始まります。

自分たちだけ上がりたいんじゃない。
自分の好きなレーベル、バンド、リスナー、全員で上がりたいんだ。
俺たちが好きな音楽をしっかり根ざした形で定着させていきたい。
そういう思いでやってます。

以上まとめました

14日15日は池袋他楽しいイベント盛りだくさんですが、お近くのかたはぜひTJLA FESTにも。私も行きます。

あらためて、詳細はこちら

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