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BLUT AUS NORD / P.H.O.B.O.S.『Triunity』:プレゼント当選、そしてハシャぐ。

Albumcover

BLUT AUS NORD

2011年の『777 – Sect(s)』から始まった連作のひとまずの終点である『777 – Cosmosophy』で、その表題の通り中心人物Vindsvalの内面哲学宇宙に旅立ってしまい、グロウルを捨て、疾走を捨て、「なんじゃこりゃ」と良い意味でも悪い意味でも言われた彼らだが、本作ではそこで得た真理-スリーセブンス-を現世の肉体でもって存分に発揮している

いつもの通り、彼ら特有の呪術感や近年如実になってきた内的世界――そしてそれはVindsvalという名の”宇宙”でもある――への言及は十分に表現されている。それはあのグネグネとしながら幾層にもなって不定形に空間を蠢くギターや、定位を中央におかず左右から囁きかけるダミ声、浮遊感のあるコーラス、そしていかにも「宇宙してます」なシンセによって成されている。

今回は、そこに肉体性が加わる。最も目立つ変化がドラムだろう。乾き気味の拡散するような音から一転、ドシッと芯の通った内に篭る音になった。ツーバスによる押し引きや随所で目立つ跳ねやオカズもあって、ドラミングに非常に人間味を感じる。屋台骨のそうした肉感を補強するように、ベースもかなり意欲的な低音を出しているし、GODFLESHばりにミュートで刻むギターも聴ける。

収録された3曲はいずれも終始ブラストなしのミドルテンポであり、そういう意味では『777 – Cosmosophy』の延長線上にあると言える。ただし、どちらかというと非メタル的な、アトモスフェリックという意味でのその速度感だった当該作に対し、今回は上述の音の方向性によって、完全にドゥームメタルとしての説得力を持っていることは特筆すべきだろう。そのドゥームメタル的力強さと、これまで磨いてきた「考える人のメタル」=ポストメタル的空間性が合わさって、結果としてJESUのような”質量を持った神性”を放つに至っているのだ

あまりにも精神的過ぎてある程度その方面への感性を持っていないと知覚できなかったVindsvalの”宇宙”。それを、ブラックメタルバンドであった彼らが、グロウルやブラストを排してドゥーム的力強さで具象化した、というのは興味深い。この事実は同じフランスの哲学系ブラックメタルのDEATHSPELL OMEGAがあくまでブラックメタルというまな板の上でデスやらプログレやら果てはカオティックハードコアやらも取り込んで足し算的にアヴァンギャルドな世界を形成し「激しい音楽だいしゅき」な御仁を満足させているのとは好対照な例として考えられるだろう。10月10日に来る新作『Memoria Vetusta III – Saturnian Poetry』にも期待したい。

P.H.O.B.O.S.

スクラップ工場を思い起こさせる無機質な打ち込みドラムに執拗に同じフレーズを反復するギターやベースを以ってミニマルという言葉を思い浮かべるひとは多いだろうし、私も最初そのような印象だった。しかしながら、同時にどうも何か違うようにも思えて仕方がなかった。それは、実は、それぞれの楽器がそれぞれでその役割を果たしていないからではないか。

ドラムは反復を演出するにはフレーズに変化がありすぎるし、反復するギターも繰り返しの気持ち良さを発揮するには空間に拡散しすぎている。そして何より、語りに近いダミ声ボーカルが曲に意味を与えすぎている。反復によって朦朧とした頭があるからこそもたらされる身体的な心地よさが言葉によって妨害されてしまうのだ。

あるいはGODFLESHのように重低音に焦点を当てるにしても、ギターは音が不明瞭すぎるし、ドラムは徹底的に無機的すぎる。それぞれの楽器のアンサンブルという点もあまり意識されていないような曲構成、音作りだ。ドローン的に聴こうとしても、ベシャっとした音で不規則に打たれるドラムが邪魔をする。

そう、何というかこの手の音楽の文脈に乗せようとすると、どこかで必ず破綻するのだ。そして、それこそが彼らの魅力なのである。ジャンルの上にありながらも、音楽的な心地よさをこれでもかと拒否し、嫌がらせのように気持ち悪い音がただただ鳴り響く空間。収録された3曲それぞれで異なる音作りがされていて曲単位での変化を感じることや、2008年の『Anœdipal』や2012年の『Atonal Hypermnesia』が本作よりもギターが目立つ、NADJAを髣髴とさせる高品質なシューゲイズ/ドゥームサウンドになっていることを考えると、サウンドプロダクション能力は高い言えるだろう。そしてそのことが、インダストリアルドゥームというそもそも対象を選ぶ内容の音楽を、さらに限定的な代物にしてしまった業の深さをより浮き彫りにしている。要素で見るとGODFLESHや近年のBLUT AUS NORDに近いものがあるのだが、こっちのほうが決定的にアンダーグラウンドだ。だからこそ逆に、我々のような一部の好事家に対してはとてつもない破壊力を発揮するのである。

ちなみに彼らはBLUT AUS NORDを「blackness audio masters」と評している(※2013年12月時点の公式サイトにて。現在は確認できず)。となると今回の3曲とも収録時間が(ほぼ)7分であることは、BLUT AUS NORDの777シリーズへのオマージュなのかもしれない。

試聴と購入

†アレ†

ちなみに本作はDebemur Morti Productions日本支部のプレゼント企画にてゲットしました。なんと本来ならLPとCDをセットで買わないともらえない†アレ†付きです。というわけで以下†アレ†の素晴らしさを伝えていきたいとおもいます。

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包装された†アレ†。

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解放された†アレ†。

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12インチLPがちょうど入る大きさの†アレ†。(LPが『Triunity』じゃなくてすみませんという気持ちはあります。ちなみに†コレ†

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†アレ†装着時イメージ。

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お気に入りのレザージャケットを着ての外出中、急にジャンバラヤが食べたくなった……。

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そんなときにもエプロンとして役に立つ†アレ†。

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急な匿名性も確保できる†アレ†最高!HEEELLLL YEEEAAAAAHHHHH!

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ちなみにCDはこんな感じです。ディスクの裏面が黒い!〆印がかっこいい!

Debemur Morti Productionsの宣伝

Debemur Morti Productions略してDMPは、ブラックメタルを中心としつつ一風変わったメタル作品も取り扱っている優良レーベルです。日本支部の公式サイトは日本支部なのに英語記載というストイックぶりですが、ツイッターは安心のジャパニーズオンリーなのでぜひフォローしてみてください。

https://sites.google.com/site/dmpjapan/homeDebemur Morti Productions: Japan Support


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