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鬼婆『鬼ホーンテッド世界』:暗怖いドローンアンビエント界期待の鬼。(Drone Ambient)

根本的になにかカンチガイしていらっしゃる異国の日本語つかいのかたがまたあらわれました。その名も鬼婆(ONIBABA)。アルバム名が『鬼ホーンテッド世界』。鬼ホーンテッド世界。声に出してください。ハイ!鬼ホーンテッド世界!どうです?やべえでしょう。くっそやべえでしょうこの語感。あー、この世界鬼ホーンテッドだわー。鬼ホーンテッド世界だわー。

昂ぶる感情そのままに#1「儀式」を再生したところ、クローゼットがやにわに開き白髪の鬼婆がシャレコウベと包丁を手に出現してしまいました。オラしょんべんさいきてぇだ!なんとか三枚のお札を駆使して撃退しましたが、それくらいクソやべえ鬼アンビエントです。基本的には容赦ないノイズドローンに残響と打撃音が重なる形。音数は多めで、主要楽器である笛やドラムには抑揚があって儀式遂行者の気配が感じられるので、この手の音楽のなかではかなり耳もちがよいんではないかと。後半ちょっとバンドアンサンブルっぽくもなるのも儀式終了間際の高揚感が出てて最高です。

#2「フィールドは」は6分弱と短めの曲。過剰な低音主体のドローンから始まります。2分ごろからリズムが頭角をあらわし、最終的に高音のフィードバック音が渦巻きながら民族風のリズムに乗って徐々に暗転。短いながらもしっかりと展開し、彼らの鬼ホーンテッド世界観も詰まっているので長尺アンビエントガチ勢のかた以外はこれを最初に聴くことをおすすめします。

そしていよいよ表題曲#3「鬼ホーンテッド世界」。34分。主要な部分は前2曲と同じですんで、自覚者以外は「おなじでした」っていう感想しか出てこないと思われます。ただこの曲は随一の緩急を持っておりましてですね。最初はマシーングラインド的な無機的連打をしていたドラムが後半唐突に力の限り血をにじませながらバチを打ち付ける様は、まさに鬼ホーンテッドな感じでゲロヤバです。

えー、このままだと「日本語使ったヘンなやつらがヘンな音楽やってる」っていうネタだけで消費されてSeishinbyouinになってしまいそうなのでひとつハクをつけておきましょう。本作、KRALLICEのギタリストであるColin Marstonがマスタリングをしています。えっ、マジで!?じぶんで書いてビックリしました。メンバーはA.、N.、R.の3名で、だれだよ、ってかんじですが、Colin氏が関わっているとなると、あるいは合衆国ブラックメタル界隈に縁のある誰かなのかもしれません。

カセット版を販売していたり、やけに多作だったり(とはいえほとんどが未マスタリングで、12月に発売予定のようです)、この手の音楽らしい様式もしっかり抑えてます。SUNN O)))やGNAW THEIR TONGUES、KHLYSTなんかのノイズ/ドローン/アンビエント勢や、Cold Meat Industry系の暗くて怖い音楽が好きなひとはぜひ聴いてみてください。そして彼らの鬼ホーンテッド世界に入門しましょう。

鬼ホーンテッド世界 (Demon Haunted World) by 鬼婆 (Onibaba)

ちなみに本作を取り扱うANTI-MATTER RECORDSは、まだ作品数は少ないながらもなかなかよさげなくらこわ作品を扱っているようなので今後も注目していきます。