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SANNHET『Known Flood』を「歌ってみた」けど蛇足だった。(Instrumental Metal)

とりあえず#1「Absecon Isle」の映像がクッソよかったので見てください。

泣いた。NOSAJ THINGといい、光と影と解放モノに弱いのです……。

しかしこの曲を始めて聴いたときの話。来るぞ……ギャーッ!と来るぞ……と待ちかまえること数分。一向に叫びやしねえ。え、あ、実はインストゥルメンタルのかたたちでしたか!これは失敬。

そのような過ちを犯してしまうほどにポストブラックメタルなこの曲。確かにこの手の音楽性でボーカルなしってのはなかったが、いやでもこれ、空いてるよね?ボーカルのために席空けてるよね?めっちゃギター左右にパン振って中央ガラ空きだよね??

というわけでこれにブラックメタルボーカルのっけて「歌ってみた」したんですが、予想以上にハマったので皆さんもぜひやってみてください。

その後の楽曲はクッソガチの暗いヘヴィインストで、ボーカルの入る余地はありません。SANNHET加入計画断念。1曲目にあったポストブラック的ナヨさはもうどっかやってしまって、その感情の志向は保ちながら、ポストメタルや激情ハードコアのような重暗い業を背負ったグルーヴを聴かせてくれます。とはいえ、節々に見られるシューゲイジングなギターと、映像つきの曲がポストブラックを基調としていること、そしてDEAFHEAVENとライブをやっていることから、彼らの根底にポストブラックがあるのは間違いない。

さてポストブラックというとギターが高音トレモロを主軸としているのと、そもそもそのうえ音づくりが高音よりなため重低音が不足がち。たとえばDEAFHEAVENの『Roads To Judah』なんか聴くと低音の全権をバスドラムが担っているような音づくりです。しかし彼らの場合、全体的に低音よりの音作りで、その辺が単純なALCEST以降のタケノコバンドとはちがうところ。特にドラムが重要な役割を占めていて、疾走パートではドッカドッカと単細胞ハードコアのようなやかましさでもって、ヘヴィパートではドンドコとポストメタル的重厚感でもってそのグルーヴを支えています。

このような音になったのは、やはりインストゥルメンタルバンドだ、というのが大きいでしょう。ボーカルというわかりやすいパートがないため、バンドアンサンブルがすべてになります。そうすると必然的にグルーヴが重視されることになるっつーわけです。

インストロックというと、日本ではtoeやte’が先駆者として知られています。両者ともドラムがかなり目立つバンドですが、リード楽器のような位置にドラムがいるtoeと比べると、全体の感情と一体化したテンションの高いドラミングを聴かせるte’のほうが彼らと方向性は近いかもしれません。

上述の1曲目を試聴した印象と、DEAFHEAVENといっしょにライブしたって情報で、ALCEST以降のアレかとおもったんですがどうやらそう単純な話ではない模様。ネット上には本人たち発信の、音以外の情報がほとんどありません。私的な話題をネット上にあげないあたり、音楽にマジメなひとたちなんでしょうか。そのうえ#7「Haunches」にはふつうにポストメタル的なガナるシャウトを採用していて、がっちりサマになってる事実もふまえると、ボーカルをあえて排除して、インストゥルメントだからこそできる独自の音楽性を追求しているのでしょう。そうであるからして、ただのフォロワーではない、こういう独特の立ち位置の作品になるのは当然と言えます。

つうわけでポストブラック大好き勢、ポストブラック食傷勢、RUSSIAN CIRCLESなどのインストメタル好き勢、te’などのジャパニーズポストロック好き勢、激情ハードコア好き勢、ポストメタル好き勢、歌ってみた好き勢など、幅広い層に対して求心力をもっているステキな作品なので是非聴いてみてください。

2013年2月22日に行われたライブ音源をNYCTAPERのこちらの記事からダウンロードできます。是非どうぞ。ちなみにDEAFHEAVEN版もあるようなので好きなかたは探してみてください。そっちはあえてリンクは貼らない悪いやつ!