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CITY OF WOLVES『City Of Wolves』が想像以上に狼街だった。

カバー画像

音楽性は重いリフを主軸としたインストロック。RUSSIAN CIRCLESやte’に近いか。とはいえそれらのバンドのように、おのおのの楽器がぶつかりあうわけでもなく、感情を剥きだしにするでもなく、淡々と冷えた景色を描いていっている。それは確かに群れをなさない狼のようだ。情報を削り落とした曲名からも孤高の姿勢が見え隠れしている。CITY OF WOLVESというのは伊達ではない。

さて、アートワークを見るとわかることだが、彼らは曲名やアートワークに日本語をつかっている。ジャケット絵にはでっかく「狼街」って書いてある。曲名もこうだ。

  • Maeoki
  • ichi
  • San
  • go
  • Hachi
  • Makuai
  • Shi

DEFTONESの「Koi No Yokan」といい、INTRONAUTのひとが日本語Tシャツ着てるのといい、あれか、日本語流行ってるのかしらん?で、これを見てまーとりあえず「Maeokiってwwww」「Makuaiなんて日本人でもつかわねえよwwwww」「数字の順番wwwwwww」と笑いそうにはなるんだけども、冷静に考えると日本も英語話せねえくせにかっこつけて「Introduction」「Interlude」「In the my way」なんてやってんのよね。もちろん言語として特異で難解な日本語ではなく世界標準の英語をつかうってのは、自分の作品をよりおおくのひとに理解してもらうという意味で、音楽家としてまったく自然で正しい行為ではある。でもだいたいそこまで考えてないよね。海外の作品の真似してるだけ。だからこそ正しく使えているんだけど。

一方彼らは世界を捨ててあえて日本語を選んでいるわけだ。その理由は、本人たちがどんなに理屈をこねても、突き詰めれば「ナンカ ニホンゴ カッコヨクネ?」という逆ミーハー根性になるのだろう。そういう意味では前述のDEFTONESやおおくの日本のバンドと変わらない。ただ、日本人の嫌う「死」がしっかり最後に来ているあたり、ちゃんとミーハーなりに意味があって、彼らのイメージするところとニホンゴが頭のなかでしっかり一致していると推測される。というか、そうでなければ、こんなにガッチガチに「狼街」の雰囲気で固まった作品をつくるのは困難だろう。

「狼街」は日本人にしか伝わらないので、言葉それ自身の効果は我々以外にはほとんどない。ただし、あえて異国の言葉を選び、それに従って音楽作品を作るという行為は、その異国の言葉を音楽に宿すことに他ならない。歌詞でもなく、曲名でもなく、ただ音楽によって、音楽に言葉を宿す。それは音楽と言葉に真摯に向き合わなければできないことだ。そして彼らはそれを成しえたようだ。

「狼街」は、たしかにこの作品のなかに存在する。

余談だけど、12月22日現在、彼らのFacebookアイコンがサンタ帽子をかぶった白狼になっている。ちょっとかわいい……。あと、Bandcampのジャンルタグに「Post-office」といれたりしてて、かなりジョークの効いたひとたちのようですね。

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