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SIENNA SKIES『Constant Climb』の半端ねぇアレンジ力に笑いが止まらない。

SAOSIN県ENTER SIKARI市のシンセ系スクリーモで説明できるものの、妙にツボをつくメロディとやけに耳に残るアレンジが魅力的だった前作。今回は前作よりも疾走歌メロひかえめ、シャウト主体になりメタルコアっぽいフレーズが増えている。あのメロメロしいエモエモしさにゾッコンだったひとは少しがっかりかもしれない。ただそれを踏まえても成長が半端ねえ。アレンジくっそうめえ。伊達に3年たってねえ。疾走感とメロで得てた爽やかなエモさを、すばらしいアレンジ力と前作以上に泣きまくるギタメロでメタルコア流のヘヴィさに押し込めている。

彼らのアレンジのうまさをあらわしているのはたとえば#2「Realization」のコーラスワーク。この曲ぜんぶシャウトなんだけれども、ふしぶしでうっすら、ほんとうにうっすらとと歌うコーラスをいれてシャウトにメロディ性をうっすら付加している。そしてそのコーラスはときにシンセになったり加工されたりしながら、最後の部分では全員シンガロングの大コーラスになって、溜めこんできたメロディ性を一気に放出させている。そしてそのメロディ性でエモーショナルを演出している。

スクリーモやエモ寄りメタルコアが好きなひとにはぜひ進めたいバンドだ。とはいえ、スクリーモ~メタルコアの一連の隆盛を聴きつづけてきたひとにとっては「ハイハイエモいエモいチャグいチャグい」っつーかんじだろう。両ジャンルともに、激しいけれどメタル界隈特有のエグみはないこと、流行りすぎてしまったこと、さらにはFACTやONE OK ROCKの出現で日本でも丁度隆盛絶頂中という事実があり、このジャンルはやはり「流行る音楽」=「キッズ向け」という印象はぬぐえない。それはこのバンドがどんなによい音楽を鳴らしていても変わらない事実だ。

や。まっすぐな少年少女はそんなこと気にせずにまっすぐと愛でればいいだろう。高偏差値なオシャレ中年なら「高品質」を愛でればいいだろう。しかし、背骨は歪み、唇はねじれ、頭髪は薄れかけ、純情なロキノナーを妬み、高偏差値なピッチフォーカーを憎み、そのことを自嘲しながらも、どこかそのことに酔いしれ、若き日の自尊心をひきずり、かといって懐古するには若すぎ、そのくせ陰毛だけはなぜかストレートな、サブカル臭ただよう低偏差値の私にとっては、こういう「キッズ向け」のものを愛でる際にはそれなりに理由が必要なのだ。察してくれ。

そしてこのバンドは、なんとその「愛でる理由」も存分にもっているのだった。それは前作収録曲のこのビデオを見てもらえればわかる。

最高でございます。こういうのは説明すればするほどつまらなくなるので言及はしませぬが、見るたび見るたび新しい発見があるものです……。そしてこの映像をおもいうかべながら再び作品を聴くとまったく印象が変わるのでございます……。

え、え、なにが最高かまったくわからない?それならば、あなたは私のようなものにお近づきになってはいけません……。ただ望むなら、私のような哀れな音楽好き崩れがいることを一時でも認めてもらえれば、その哀れさをあざ笑ってくれればそれで結構でございます……。

つうわけで単純なバンドとしての良さはもちろん、私のような人間へのアッピール点をも備えている彼らを、皆さん応援していきましょう!

とおもったら新作ビデオではふつうにかっこよくなってしまわれました。え、え、ドラムかわっちゃったの?そうだよなー。必死だったもんなー。ボーカルも軽やかなステップを封印してるし。ベースのかんじはあいかわらずだけど……。ただ、それはそれで、ええ、うれしいもんですよ?さみしうれしいもんですよ?