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EAGLE TWIN『The Feather Tipped The Serpent’s Scale』に漂う鈍重帝王の風格。

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なにがEAGLE TWINだよ!EAGLE TWINっていうより、もうEVIL TWINだよーーー!

とバンド名からなまじPELICANの大自然ドゥームを思い浮かべてしまったために、そう叫ばざるをえなかった鮮やかな記憶しかないデビューアルバム『Unkindness of Crow』から3年。ついに悪意と敵意の二人組みEAGLE TWINのセカンドアルバム『The Feather Tipped The Serpent’s Scale』がブッ届けられました。前作同様鈍重界のエリート集団、Southern Lordから発売。

鈍重なリフ。お経ボーカル。定速シンバル主体ドラム。と主材料を並べると、はいはいドゥームドゥーム、スリープスリープってかんじなんですが、いやこれが他にはない趣どころか全く他にはない独自性を持ってるんですよダンナ。

そのおもな理由は圧倒的な展開力。たとえば「Ballad of Job Cain Part I」なんか、ほとんど単一のリフでつくられているけれども、何種類もリフがあるかのような劇的な展開を見せている。そのいちばんの立役者はドラム。うえでは定速シンバル主体と書いていて、ドゥーム的な意味でもちろんそれは正しい。けどそれがドゥーム的意味だけではなく、ポストメタル的意味になってるっていう面がある。シンバルとバスドラを主につかって、スネアで変則的なリズム感を演出するアレだ。これがあるから強い。この2種類のドラミングで肉体的音圧と精神的音圧を同時並行で醸しだしている。すごい。こんなのアタシはじめて…。

もちろんギターも―あくまで「リフレイン」の範疇のなかでだが―その音圧の渦にあわせて巧みにフレーズを変えている。

これはただSLEEPやMELVINSをなぞって音圧を求めるだけの単細胞ドゥーマーにはできない芸当だ。どうしてこんな凄げーことになってるのかしらん?とインタビューを読んでいたら、こんなこと言ってた。

…the words and story usually come first and suggest the structure.

(前略) 言葉と物語が、大体最初に来るね。そこから構成が生まれてくる。

HAILS & HORNS – Featured Interview: EAGLE TWIN — By Morgan Y. Evans (4 Oct. 2012)、「音と物語、どちらを重視していますか?」という問いに対し、RH.Angylusの超訳)

ほう。物語が先にあるってのは、プログレ勢の専売特許。しかも構成がそこから出てくると来たもんだ。そりゃあこんな劇的な展開力が生まれるわけだ。

この事実はお経ボーカルにやたら説得力がある理由にもなる。ボーカルからメロディを排したことが、ストーナー的持続感の補強とはべつに、「語り」としての意味を増強している。

そして何といっても、以上もろもろの音楽的事柄を包み込む、圧倒的な悪意と敵意!涎が止まりませぬ。この手のドゥーム界隈って、純粋に音圧のみで我々を踏みツブすニュートラルな連中がおおい。でもこやつらは黒い感情剥きだしで威嚇してくる。失禁!失禁!

音にこめられた感情が目立つのはうえで述べた展開力の力とはいえ、その根本となる物語はどんなだよ。どんな物語に根ざしたらこんなエグい音になるんだよ。残念ながらデジタル購入なうえ歌詞がネットに掲載されておらず聴きとりできる能力もないので曲名だけしか情報がない。蛇が角になったってどういうこと?悪魔の角?ジャケ絵がケツァコァトルなこともあり、神学からんでそうですが…。この辺のことがわかるかたおりましたらぜひ連絡ください。

ちなみにこのバンド、ギター/ボーカルのGentry DensleyとドラムのTyler Smith、二人編成でベースがおりません。ドゥームやるのにベースレスっていうとこでまず意識がちがうよね。ただ低音だしゃあいいってもんじゃねえんだよ、っつう。自分に言い聞かせます。

まだ2作目だけど、何十年もまえからシーンを支えてきたかのような帝王の風格が漂うもの凄げー名盤。SLEEPやMELVINSあたりのドゥーム好きはもちろん、UFOMAMMUTなどの極悪系が好きなかたにもオススメ。もちろんSouthern Lord聴きはいわずもがな。いまのうちにツバつけときましょう。

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