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nego『SANSARA』に、ダブ良く知らないけどワシづかまれた。

ど、ど、ど、どひゃ~~~~~~~~

ワシ、鷲つかまれた。

MAKKENZ経由で知った5人組みのハイブリッドダブバンド。正直ダブってなんなのかいまいちよくわかってなくて、なんかレゲエの亜種みたいに捉えてる程度。でもこの作品はそんなド素人でもド感動できるほどド直感的にド素敵だった。

negoや『SANSARA』については、Qeticのインタビューがかなり詳しい。コンセプトについてギタリストの向山氏はこう語っている。

次の作品ではループ音楽と即興音楽のスケールの大きさを合わせてみること、そして全体を通して踊れるアルバムにすることをテーマに曲作りがスタートしました。

ループ音楽や即興音楽を「ループ音楽」と「即興音楽」という要素として扱うバンドは少なくない。「ループ音楽」でいえば、RADIOHEADの昨年の『The King Of Limbs』なんてまさにそうだし、ゆらゆら帝国も後期はそういう要素が強かった。「即興音楽」でいえば、KING CRIMSONから脈々と受け継がれているプログレの血族がこぞって取り入れている。両方を扱うバンドといえばそれこそ彼らが影響を受けているROVOだろう。

しかし今回彼らは「スケールの大きさを合わせてみる」ことでこれらを次の段階へと押し上げる試みを行った。すなわち、「ループ音楽」と「即興音楽」を扱うバンドではなく、ループ音楽であり即興音楽であるバンドの模索だ。その試みは、#3「Dog Sweeper」でひとまず結実しているように思える。ループするリズムとカッティングに、ギターや電子音などが乗りひとつの大きな流れが生み出されている。今の彼らを代表するといってもいい素晴らしい作品だ。

だけど、ループ音楽と即興音楽で踊れる、って、ある種の民族音楽そのもののような気がするぞ?という疑問もでてくるかもしれない。ここで重要なのは、民族音楽のソレは非意識化でやっていて、negoは完全に意識してソレを行ったこと。たとえ辿りついたところが同じようでも、そこに達するまでの「意識」の違いは、見える景色をまったく変えてしまう。

その「意識」が生み出す彼ら独自の景色、というののひとつは、やはりバンドサウンドなんだとおもう。それもROVOや内橋和久といったジャズや即興に近い意味でのバンドサウンドではなく、ロックとしてのバンドサウンドだ。彼らの音にはジャズや即興にしばしば見られるような高偏差値の嫌味さがまったくない。ただただ直感的に響き、全裸的に感じ得る。

このことはインタビューでも垣間見えている。

――サンプリングや映像などを織り交ぜた楽曲は映画的スケールも感じさせます。negoのエッセンスの源に迫るにあたり、これまでの音楽遍歴を教えていただけますでしょうか?

僕とmitchelは好きなものが似ていて、TOOLやSepultureのようなヘビィでトライバルなバンド、その他にUnkle、Massive Attackなどが共通して話に出てきます。映像を使ったバンドで最初に衝撃を受けたのはdownyでした。

最初にでてきたのがなんとTOOLSEPULTUREである!確かに両者ともトライバルではあるが、完全にロック/メタル界隈のバンドだ。そしてヒップホップ畑であがったのがUNKLEMASSIVE ATTACK!前者はRADIOHEADのThom Yorkeと組んでいたし、MASSIVE ATTACKは例の『Mezzanine』でポストロックばりのギターサウンドを奏でていた。両者ともにかなりバンドサウンドに近いアプローチを取っていた過去をもつ、すくなくとも私の周囲のロック好きにも積極的に受け入れられていたユニットだ。

そしてdownyィィィ!!日本の退廃系アートロックの礎を築いた伝説のバンドだ。確かにdownyの3rdアルバムに収録されている「fresh」なんかは今回のnegoの曲にかなり手触りが近い。

また、公式ページで『SANSARA』にメッセージを寄せている面々を見ると、oaqkやsgt.、OVUMなどインストポストロック勢が目立つ。こうした交友関係からも彼らの音楽基盤が伺える。

そうした音楽背景を持つ彼らなのだから、ダブを基盤しつつも骨太なバンドサウンド然としているのはある意味当然とも言える。そしてその当然が、downyに狂喜し『Mezzanine』で失禁した『Kid A』世代の私の心を鷲つかんでグワングワン感動させるのもまた当然だ。

そしてまた当然、これは音楽背景がバンドに偏っている私独自の解釈であり、ダブ方面からこのアルバムに触れればまったく違った「景色」が見えるのだろう。その「景色」も見るために、もっとダブを聴き深めていきたい。

個人的にかなりツボだったのは#6「Unconscious Dub」。ダブがふくむ倦怠感を退廃的サウンドで過剰解釈したような曲で、日曜夕方に聴くともう意識が混濁してきて全世界がウロボロスに呑まれて腹のなかでドロドロに溶けちまうホワイトスネークなことになってくる。

つうことでダブやミニマルテクノ方面のひとはもちろん、ダブって何?肌つるつるなの?という状態のポストロック好きやなんだったらポストメタル好きも巻き込んでサンサーラしちゃえる素敵極まりない作品なので皆さんぜひとも聴いてください。一緒に解脱を目指しましょう。