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SIGH『In Somniphobia』で思い出したけどコイツら世界に誇れないわ。

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Cacophonousデ キグルアイテニ ムチャヲ ヤッテイタ イタンジニ モドッテシマッタ!

ブラックメタルを元になんかいろいろゴミゴミとまぜこんで、アヴァンギャルドというよりも「なんか変」な音楽をやってた初期SIGH。そこから音楽性を固めだしたとおもったら『Gallows Gallery』ではパワーメタルやってファンの度肝をぬき、つづく『Hangman’s Hymn』ではあまりにポップなシンフォニックブラックでメインストリームにブラックメタルという概念を浸透させ、ブラックメタル界のマキシマムザホルモンと呼ばれるようになった。その後集大成的作品『Scenece from hell』ではPVを作ったりHMVで連載はじめたりで露出増。いつの間にやら「日本が世界に誇れるメタルバンド」になっていた。

そんな流れのこの作品。露出増えたつぎってことでバンドとしてはかなり大事な位置づけなんですけども、これがまたまたどうして。

前作、前々作の延長のシンフォニックブラックで幕開けするんだけども、何を意識したのかわからんが妙に垢抜けた旋律と音。そこがヴィジュアル系や二次元関連作品、あるいはシンフォニックブラック黎明期にあふれたB級バンドに似通っててだっせえのなんの。さらに、アルバムが進むにつれてもうブラックメタルでもなくなってどんどんコミカルでチープでオールディーズな音作りになってきてもうなんか赤面照れ笑い。

そういうわけでこれを前作前々作に引きずられて「せかいに ほこれる!」っていってしまうと赤面に巻き込まれてしまう。だけども、じゃあその赤面具合をしっかり拒絶して「駄作。」と一刀両断するのも、また前作前々作に引きずられているだけなのであった。

正しい判断。それは「やっぱりSIGHは変わらねー」。

そもそもさかのぼるところ『Hangman’s Hymn』の評価のされかたが間違ってた。うえでもちょっと言ったけど、あれって結局すげえポップなブラックメタルで、だからこそいろんなリスナーに評価されたんだよ。それがブラックメタル、日本人、変態と評価されてる、っていう音楽性以外のナンカスゲー要素がそろってたためここぞとばかりに高偏差値集団が喜んでしまって、ポップさをスノッビーに翻訳しちまった。そしてスノッブがスノッブを呼び、次の『Scenece from hell』で「にほんが せかいに ほこれる!」バンドSIGHが形づくられてしまった。

でもちがうでしょう。SIGHって、ブラックメタルをうっすらと基本に和やらジャズやらプログレやらサイケやらもうなんかいろいろをムリヤリごちゃごちゃにまとめて手拍子しながら「SHI KI GA MIー!」とか叫ぶコミックバンドすれすれの恥ずかしい子たちでしょう。『Hangman’s Hymn』のポップネスも、実はそのコミックさがひょんな具合に結実したってだけでしょう。

つうわけで今作もその駄目な時期を思い出して聴いてみると、ああまったく変わっておられませぬ。このチープな!キッチガイじみた!人間としてダメな!世界にまったく誇りたくない!

まだまだついていくぜ!!

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