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downy『無題 (1st)』聴いて僕は丹下段平になりきった。

カバー画像

酩酊―なるほど、たしかに酩酊。なんという陶酔感。拡散していくべき音がすべて内側へとこもり、体液中をかけめぐる。音に酔うとはこういうことか。素敵。

ごっりごりの轟音ギターに、自己主張過剰ともおもえるベース、感情どころか無機的な意思すらかんじられないただひたすらにたたきつけていくドラム。好きだ。

このバンドに日本語のかっちりとした発音は似あわない。かといって英語の発音だと無難すぎる。そこでこの「英語化した日本語」という独自の発音。LOVE PSYCHEDELICOのKUMI氏やマキシマム ザ ホルモンのマキシマムザ亮君氏の英語化した「日本語」とはちがう、異様さをたずさえたこの発音はかれらの音と非常に相性がよい。もちろんききとれねぇ。だがそれがいい。

<噫!無頼一閃!>といったナンデスカソレハという漢字や文体をつかっていて、それはやはり「英語化した日本語」がただしく機能するためにも必要であり、また歌詞それだけでみてもなかなかに素敵なものだ。意味など読みとらずにただ字面をながめていてもたのしい。メンバーに映像担当がいるだけあって、視覚効果も考えているのだろう。一方で、

雨に撃たれてたら
この空も情緒不安なのさ
アイツらが嘘っぽく笑った
例の妄路が干からびそうさ
―青い空に唾を吐く―

といった直球に感情を揺さぶる歌詞も書いている。downyというバンド名そのままのサウンドと相まってもう泣き崩れるしかない。

#4「左の種」における最後のたたみかけなんか好きですねえ。<低空飛行>という歌詞にもあらわれてるような低いもりあがりなんだけれども。ドラムやギターが音の数をふやして荒げていくなか、ボーカルはあいかわらずの低いテンションをたもちながらじょじょに狂っていく。#10「猿の手柄」もラストおなじようなたたみかけかた。「さるのおかげさるのおかげさるの」という反復にはもうため息がでる。

さて、downyはこの時点ですでに異彩異才をはなっておりそのへんのバンドとは一線どころか幾重もの線を画していることはまちがいないのだけれど、未完成、いや、まだまだ化けるぞこいつらは、という雰囲気がなんとなしにただよっている。これからどんなバンドになっていくのか非常にたのしみであり、おそろしくもある。

ジョーをさいしょにみた段平はこんなきもちだったにちがいない。

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